会長挨拶

 平素、会員の皆様には、コンサルティングエンジニア連盟(以下、連盟という)の活動にご理解、ご協力を頂き、厚くお礼申し上げます。
 令和 5 年のコンサルティングエンジニア連盟総会に於いて、会長に選任 され、2 年目を迎えております。
 今期の連盟の通常総会は 2 月 19 日(月)に、新型コロナが収まりつつ ある中、62 名の会員の皆様にご参集いただき開催しました。
さて、連盟は平成 13 年7月、建設コンサルタントなどのコンサルティングエンジニア(以 下、CE という)の健全な発展と地位の向上を目指して、適正かつ公明正大に政治活動を行う ことを目的に設立され、本年で 22 年と半年の活動を重ねてまいりました。
 近年、気候変動により過去に経験したことのない激甚化した自然災害が頻発化し、新型コ ロナウイルス感染症の蔓延やロシアのウクライナ侵攻など、新たな脅威も起こっています。
 安全・安心かつ快適な国民生活、活力ある健全な国土の基盤となる社会資本整備を担う CE の果たすべき役割は、年々大きく重要になってきています。
 一方、重要な役割を担っている CE の社会・経済的地位は、依然として改善されていない 状況にあります。健全な社会資本整備を推進していくために、CE には利害関係者と独立し た立場で高度な技術的判断と適切な行動規範が求められます。
 そのために CE 個々が技術力および資質の向上、研鑽を図ることは当然のこととし、CE が独自の努力だけで解決が困難な諸課題の改善、具体的には、安定かつ継続的な社会資本整 備推進のための予算措置や執行等の政策、建設コンサルタントをはじめとする CE の社会的 地位の向上等について、立法・行政府に公正・適切な政治との関係性の中で働きかけるなど の活動によって実現を担うのが、連盟の一貫した役割、使命と考えております。
 令和元年 6 月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」が公 布・施行されました。この改正によって、これまでの品確法に明記されていた公共工事の品 質確保のための担い手確保の中長期的な基本理念に基づき、企業の適正な利潤の確保が発注 者の責務であることや、「調査、設計業務における技術的能力の審査」など、調達における技 術力による選定の拡大、多様な入札契約制度の導入・活用の明記に加え、公共工事に関する 調査等(測量、地質調査その他の調査(点検及び診断を含む。)及び設計)について広く本法律の 対象として位置付けられました。こうした動きを受けて徐々に建設コンサルタント、CE の役割の 明確化と地位向上に資する法整備が整いつつあります。
 品確法は 5 年ごとに見直しすることになっていますが、今期の改正へ向けて、佐藤議員を 座長、足立議員を座長代理とするプロジェクトチーム(以下、PT という)が昨年 11 月の品 確議連総会において立ち上げられました。PT では、建設関係団体からの要望を取りまと め、2 回の会合を経て 4 本柱(担い手の確保のための働き方改革・処遇改善、地域建設業等 の維持に向けた環境整備、新技術等の活用による生産性向上、公共工事の発注体制の強化) の品確法等改正骨子(案)を提案しています。

 こうした動きも受け、品確議連の根本会長、佐藤幹事長、梶山事務局長、足立事務局長代 理の 4 名が、2 月 7 日に斉藤国土交通大臣を訪れ、建設関連 14 団体からの要望書と共に、 品確議連としての要望書(建設産業の担い手の確保と円滑な施工確保に向けて)を手交しま した。この結果、設計業務委託等技術者単価が 2 月 16 日に発表され、平均 5.5%のアッ プ、12 年連続のアップが実現しました。
 一般社団法人建設コンサルタンツ協会(令和 5 年 12 月末・500 社)の「建設コンサルタント ビジョン 2014(平成 25 年)」には、今後の建設コンサルタントのあるべき姿として 「拡大する役割と領域で積極的に活躍するコンサルタント」、「技術を磨き、技術を競う 建設コンサルタント」、「健全な企業経営のもと優秀な技術者が活躍できる建設コンサルタ ント」を標榜しています。
 ここでは、国民の安全・安心な生活を守り、また社会経済や国際競争力の基盤となる健全 な社会資本整備を担っていくために、利害関係者と独立した立場で「自律した経営、自律し た技術者」になることを期待しています。連盟としても建設コンサルタントの「あるべき 姿」を共有し、協働して実現を目指します。
 今後、連盟は協会と連携して、上記に述べた課題を解決し実現していくために、以下の 4 項目を本年の活動方針として継続していきます。

  • コンサルティングエンジニア(CE)の政治活動への積極的関与
    ・公共事業は政治そのものであり、良質な社会資本整備のためには CE の政治への積極的関与 が必要である
  • 安全・安心な国づくりのための社会資本整備の継続的推進
    ・インフラの老朽化対策、長寿命化、防災・減災対策などコロナ後の新たな社会資本整備に向 けた持続可能な予算確保と執行のため、以下の 3 項目を要請していく
     a. 頻発する災害への積極的な対応
     b. 国土強靭化への新たな対応
     c. 新たな社会資本整備への環境改善と予算拡大
  • コンサルティングエンジニア(CE)の活用、育成
    ・良質な社会資本整備には CE の活用が不可欠であり、以下の4項目を要請する
     a. 地域を良く知る地域密着 CE の活躍の場の創出と DX 推進支援
     b. 多様な発注方式による CE の活用
     c. 営業利益率確保のための予算拡大、技術者単価、調査基準価格のアップ
     d. 若者に魅力ある職場となる働き方改革の推進(新 4K 産業を目指して)への環境改善
  • コンサルティングエンジニア(CE)の地位向上が必要
    ・優秀な CE の人材確保を継続的に実施するために以下の3項目を要請する
     a. 望ましい契約の在り方、CE の保持する著作権へ権利の拡大
     b. CE の法的根拠となる資格法や職業法の法制化への働き掛け
     c. 公共事業に限定した新調達法制定の必要性の働き掛けと制定

 連盟は、社会資本整備に関わる建設コンサルタントを始めとする CE を「安定した健全な 持続可能な経営のもとに魅力的で働きがいのある職業として社会的地位を高める」ことを目 的として、この連盟の目的に理解ある政治家を幅広く支援していくことで、連盟の目的を実 現していく政治活動を本年も進めていきます。会員の皆様には、連盟の目的を果たしていく ための政治活動に、ご理解・ご支援いただくことをお願いして、コンサルティングエンジニ ア連盟会長の挨拶と致します。

令和6年3月
コンサルティングエンジニア連盟
会長 村田 和夫

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